この生き物は「ハリセンボン」と言い熱帯から温帯の海に20種ほどが生息しています。
代表的なハリセンボンは全長40センチを超えることもあります。
ハリセンボンは、決して強力な生物ではありませんが多くの危険生物が生息する海において天敵が存在しない驚くべき生物でもあります。
ハリセンボンがこれほどまでに無敵な理由は、やはり名前の由来でもある全身を覆う針にあります。
この鋭い針は鱗が変化したものであり、その数は350本にも及びます。
そしてハリセンボンは危険を感じると水を吸い込み体を膨張させながら全身の針を立たせます。
こうすることにより、どんなに獰猛な生き物も傷を負うことを恐れハリセンボンを襲うことができなくなるのです。
このように天敵さえ存在せず最も成功しているように思えるハリセンボンですが、命を失うほどの致命的な欠点があります。
それは、魚類なのに漂流することです。意味がよくわかりませんが、ハリセンボンは魚にも関わらず泳ぎが下手すぎて海流にさらわれてしまいます。
その結果、暖かい海から寒い海へ勝手に連れて行かれそのまま死んでしまいます。
しこもこんなもんではありません。
ハリセンボンは膨らんだ時にしょうもない泳ぎを発揮します。懸命にヒレを動かしても全然進まず、その場でユラユラ揺れているだけなんです。
そのまま普通の波にさらわれ、浜辺に打ち上げられたところを鳥などに食べられてしまいます。
それが、最大の敵が自分だった生き物「ハリセンボン」です。